昨日、5月28日の毎日新聞のネットニュースにおいて、以下の記事が出ました。
台風で中止の花火大会、イベント中止保険支払われず 千葉・富津
https://mainichi.jp/articles/20190528/k00/00m/040/187000c
記事によると、昨年夏、台風の影響で中止された千葉県富津市の「富津市民花火大会」で、イベントの中止の際に保険金が支払われるイベント中止保険の加入をしたところ、大手損害保険会社から保険金の支払いができないという事を言われているという記事。
実は、私以前損害保険の代理店をやっていたことがあり、その時の経験を踏まえてこの事案を考えてみたいと思います。
まずは、イベント中止保険とは、どういうものか?という事について説明します。
コンサート、演劇、スポーツ大会、お祭り、花火大会等の興行(イベント)が、悪天候、出演者の傷害や疾病による出演不能、交通機関の事故等の不測かつ突発的な事由により中止や延期を余儀なくされた場合に、興行の準備のために既に支出していた費用や、中止や延期に伴い臨時に支出が必要となった費用に対して保険金をお支払いします。
三井住友海上保険株式会社のホームページより(https://www.ms-ins.com/business/cost/kogyo/)
この言葉の通り、イベントが悪天候などにより中止になった場合に出る保険という風に明記してあります。
となると…
今回の「富津市民花火大会」は、台風の影響で中止になった訳ですから、保険金の支払い対象になると考えるのが当然です。
記事にもあるように約575万円分を保険金として支払ってくれるようにと実行委員会側は、主張している訳です。
ここは、想像でしかありませんが、この約575万円の中には、花火業者に払ったお金や実行委員会が動いているお金、イベントを開催するにあたって購入したものなど、色々なお金が含まれていると思います。
でも、記事を見ると…全く支払いができないという保険会社の主張です。
これは、どういうことか?
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恐らく以下の部分で保険会社は、支払いを拒否しているのではないかと思います。
今回のケースで一番の問題になるのが、寄付金(もしくは協賛金)で運営をしていることにあります。
例えば…
寄付金 1,000万円
損害金 575万円
この事例を考えてみましょう。
実行委員会としては、収入が寄付金の1,000万円なので、そこから575万円を支払ったことになります。そうすると、実行委員会の手元には、425万円が残っているという事になります。これで保険金を出してしまうと1,000万円が実行委員会の手元に残ることになります。
イベントを中止したにも関わらず、1,000万円ものお金が実行委員会の手元に残ってしまうという事になります。
じゃ、今回のケースは、どうすれば良かったのか?
寄付金(協賛金)ではなく、チケットなどとして、返金というシステムであれば、今回のケースでも保険金は支払いの対象になったと推察されます。
そうなれば、1,000万円すべてを返金するので、実行委員会は、まるまる575万円の支払いが残ることになります。そうなると、保険の対象になるということです。
今回のケースは、元々契約の段階で、保険会社とどのような話をしていたのか?わからないので、なんとも言えないのですが、イベント中止保険に加入する際には、この辺の事を気を付けないといけないという事になります。
2019年8月1日追記。その後、賠償金が支払われたという記事がでました。その件についても書いてみました。
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富津市の花火大会中止におけるイベント中止保険の保険金が支払わられずに賠償金が支払われたという事について
先日、自分のサイトで以下の記事を書きました。 保険会社は、誰もが知っているような大手保険会社です。 前回の ...
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